市販ニキビ薬こと「第2類医薬品」について
ドラッグストアやAmazonで購入できるニキビ薬は、大方が第2類医薬品に該当します。これは2009年から解禁された処方箋なしで購入できる医薬品となります。
皮膚科のみで処方される医薬品に比べて効果は緩和ですが、それでも「ニキビ治療」を目的とした即効性が期待でき、下手な化粧品よりも効果があります。
以下、この第2類医薬品に該当するニキビ薬を成分ベースで比較していきます。
ドラッグストアで購入できる市販ニキビ薬(第2類医薬品)の成分比較
以下7社のニキビ薬を比較します。
第2類医薬品
・クレアラシル
・ペアアクネ(PAIR)
・オロナインH軟膏
・ピンプリット にきび治療薬C
・メンソレータムアクネスニキビ治療薬
+α
・テラ・コートリル軟膏a(※指定第2類医薬品)
・ビフナイトn(※第3類医薬品)
成分的に見たおすすめ順に掲載しています。掲載情報は2018年9月時点のものとなります。
メンソレータム アクネスニキビ治療薬(ロート製薬)
【主要成分】
殺菌:イオウ(3%)、レゾルシン(2%)
角質軟化:イオウ、レゾルシン
抗炎症:グリチルレチン酸(0.3%)
抗酸化:トコフェロール酢酸エステル(0.5%)
主要ニキビ薬の中では一番の王道品。イオウ、レゾルシンなどニキビ薬の王道成分に加えてビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)を配合。ニキビ炎症を促進させる遊離脂肪酸の酸化を防ぎます。
ニキビの大敵たる油分を減らすためか、油分ながらほぼ水分のミリスチン酸イソプロピルを採用している点も評価。ただ、イオウと相まって逆に肌の乾燥を招く場合があります。
肌乾燥の可能性を除けば特に欠点らしき欠点もなく、王道のニキビ薬として使えます。
クレアラシル ニキビ治療薬クリーム(レキットベンキーザー・ジャパン)
【評価】
A.
【主要成分】
殺菌:イオウ(3%)、レゾルシン(2%)
角質軟化:イオウ、レゾルシン
抗炎症:グリチルリチン酸二カリウム(0.5%)
抗酸化:トコフェロール酢酸エステル(0.5%)
総合パフォーマンスは良し。ニキビ薬に求められる成分をとことんまでに詰め込んでおり、成分表はまさにニキビ薬の教科書です。
クリームタイプのニキビ薬では珍しくワセリン(保湿剤)を配合。イオウによる乾燥を防ぎます。他方、油っぽい肌の人、過剰な皮脂分泌がニキビの原因となっている人だとニキビをこじらせる原因になりますので注意が必要です。
ペアアクネクリームW(LION)
【主要成分】
殺菌:イソプロピルメチルフェノール(0.3%)
角質軟化:なし
抗炎症:イブプロフェンピコノール(3%)
抗酸化:なし
主要ニキビ薬の中では唯一、強めの抗炎症成分たるイブプロフェンピコノールを配合しており、ニキビ炎症を抑えるという意味では最優秀クラスの1品です。
ニキビ薬としては珍しくイオウを使っておらず、イオウによる肌の乾燥が気になる人、イオウアレルギーの人でも使えます。
ただ、ニキビを治すよりかはニキビ炎症を抑える方に重点を置いており、ニキビそのものを改善する成分(殺菌、毛穴詰まり解消etc)がほとんど含まれない点が気になります。
ピンプリット にきび治療薬C(資生堂)
【主要成分】
殺菌:イオウ(約2.7%)、レゾルシン(約1.3%)
角質軟化:イオウ、レゾルシン
抗炎症:グリチルレチン酸(0.3%)
抗酸化:なし
ニキビ薬の基本たるイオウ、レゾルシンを配合。加えてピーリング成分(乳酸)を配合しているため、毛穴詰まりを解消する形でのニキビケアに向いています。
オイルフリー製品であり、油分がほぼ100%カットされています。これが強み、はたまた弱みとして同製品の評価を決めてしまうことが考えられます。
油っぽい肌の人、皮脂の過剰分泌がニキビの原因となっている人には丁度良いかも知れません。逆に乾燥肌の人だとイオウと相まって乾燥してしまう可能性が高いです。
オロナインH軟膏(大塚製薬)
【主要成分】
殺菌:クロルヘキシジングルコン酸塩液20%(1%)
角質軟化:なし
抗炎症:なし
抗酸化:なし
消毒液などに使われるクロルヘキシジングルコン酸塩液を配合。アクネ菌を殺菌するという意味でニキビ薬としても使えます。
軟膏ということもあり油分が強め。ニキビにとって油分は養分そのものです。元よりしもやけ、あかぎれ、やけどなど保湿が必要となる症状への応急処置を想定としており、ニキビ効果はおまけに近いかと思われます。
テラ・コートリル軟膏a(ジョンソンエンドジョンソン)
※同製品は指定第2類医薬品(第2類医薬品の中でも特に注意を要するもの)です
【主要成分】
殺菌:オキシテトラサイクリン塩酸塩(3%)
角質軟化:なし
抗炎症:オキシテトラサイクリン塩酸塩、ヒドロコルチゾン(1%)
抗酸化:なし
まず始めに書いておきますが、同製品はステロイド薬です。強い殺菌効果と抗炎症効果を持っており、効果が出ようが出まいが使用は数日に抑えるべきです。間違っても常用してはいけません。
元々医療機関で使われていたものであり、アレルギーなどなければ一定の効果が期待できます。ただ、あくまでステロイド薬なので根本的な治療にはなり得ません。ニキビを治療するよりかは一時的にニキビをシャットアウトするといった方が近いです。
成分ベースから他のニキビ薬と異なるため単純比較できませんが、あまり積極的に使うのもどうかと思います。なかなか使用タイミングを計りかねます。
ビフナイトn ニキビ治療薬(小林製薬)
※同製品は第3類医薬品です
【評価】
X ※第3類医薬品のため単純比較できず
【主要成分】
殺菌:イオウ(3%)、イソプロピルメチルフェノール(1%)
角質軟化:イオウ
抗炎症:グリチルレチン酸(0.3%)
抗酸化:なし
第2類医薬品よりも低リスクな第3類医薬品です。内容的にはイオウ、イソプロピルメチルフェノール、ベントナイトなどや第2類医薬品と変わらぬ成分を配合しており、そこまで劇的に効果が違うのかな?と思います。
なお、同製品はカオリンと呼ばれるパウダー成分が配合されており、ニキビを包み込み、保湿するという意味では強力です。他方、皮脂を閉じ込めニキビ悪化の原因となる場合がありますので注意してください。
なんちゃってニキビ薬に注意
ニキビ効果を謳う化粧品の多くが「薬用〜」といった商品名を採用しています。これは一見ニキビ薬に見えますが、あくまで化粧品であり、ニキビ薬のような劇的な効果はありません。
化粧品の中でも厚労省の審査を通った化粧品は「医薬部外品」と呼ばれます。医薬部外品であれば、通常は禁止される「薬用」といったキーワードでの宣伝が可能となるため、各社が積極的に医薬部外品の審査を通している背景があります。
詳しくは以下記事でまとめましたので、気になる方は一読あれ。